健康一口アドバイス
HbA1cについて
糖尿病内分泌内科長(兼)地域糖尿病センター室長 五十嵐 雅彦
糖尿病は、きちんと治療しないと全身にさまざまな恐い合併症を引き起こすことが知られています。そこで、合併症にならないためには、糖尿病の早期診断と早期治療に加え、適正な血糖コントロールを長く続けることが重要となってきます。
糖尿病の診断と血糖コントロールの良否を判断する検査としてHbA1c(ヘモグロビン•エーワンシー)が挙げられます。HbA1cは、過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値を反映するもので、これまで日本での健康な人の基準値は5.8%未満とされてきました。しかし、本年4月からはこれまでのHbA1cに0.4%を自動的に加算した値を使うことになり、健康な人の基準値も6.2%未満と変更になりました。この背景としては、日本ではこれまで世界に先駆けて独自にHbA1cの精度管理と標準化を達成してきました(JDS値と呼びます)が、実は日本以外のほとんどの国では米国式の測定法によるHbA1c(NGSP値と呼びます)を採用しており、日本の測定法と比較すると約0.4%高い(ずれがある)ことが明らかになったからです。そこで、世界基準に合わせるため、本年4月からはこれまでの日本式のHbA1c(JDS値)に0.4%を加えた新しいHbA1c(NGSP値)に変更したものを診療で使うことになりました。
そのため、新年度に代わった途端、HbA1cの数値を見て、「血糖コントロールが悪くなった?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、数値に誤解されないよう気をつけて下さい。
2012/08/08
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