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当院は、脳卒中の包括的治療に特化した脳卒中センターとリハビリテーション科を併設している山形県内唯一の病院です。
リハビリテーションスタッフは療法士23名(PT10名、OT9名、ST4名)、医療助手4名よりなります。リハビリテーション室は広く、3階(300㎡)と脳卒中センターに隣接した8階(240㎡)に分かれています。主に急性期の患者さんに対して、早期よりリハビリテーションを開始し、365日リハビリテーションの継続に努めています。
力を入れている取り組みのひとつに「ニューロ・リハビリテーション」があります。ニューロリハビリテーションとは、ニューロサイエンスのエビデンスを応用したリハビリテーションを指します。
近年、脳卒中などで脳がダメージを受けても、脳への刺激やリハビリテーションにより脳機能の再編成が生じること(脳の可塑性)が分かっています。この脳の可塑性を効率的に誘導することで、動かしにくくなった手足(麻痺肢)の機能をできるだけ回復させる概念や方法が、ニューロリハビリテーションになります。そのためには麻痺肢をできるだけ効率よく動かす必要があり、電気刺激や磁気刺激などのニューロ・モデュレーション、ロボットリハビリテーションなどが用いられます。
当院では、脳卒中急性期患者さんに対して、内科治療に加え外科治療や血管内治療を積極的に行っています。それら治療の次の治療として、以下のニューロ・リハビリテーションを患者さんの病態に合わせて行っています。
1.歩行リハビリテーション支援ロボット:Wel walk (ウェルウォーク)
東北地方で唯一(日本国内では100施設)、歩行支援ロボットWel walk(ウェルウォーク)を使用しています。これは下肢麻痺などで移動困難な患者さんにあわせ、ロボット脚と多彩なフィードバック機能と体重免荷やトレッドミル機能を用いて、適切な難易度を調整し 歩行訓練を行います。
2.上肢リハビリテーション支援ロボット:ReoGo-J (レオゴージェイ)
多方向へのリーチ運動の練習により、上肢機能の回復を目的とします。日本人の体格に合わせ改良されており、アームを調整し多彩な訓練が可能であり、全介助から随意的な自動運動まで難易度調整が可能です。
3.体重免荷式トレッドミル訓練
体を吊り下げて体重の負担を減らし、ベルトコンベア上を歩行するものです。動物には脊髄に歩行の調節装置であるCPG:central pattern generatorが存在するといわれており、このCPGを活性化することにより、必ずしも脳からの入力がなくても歩行を再獲得することが可能と考えられています。体重免荷式トレッドミル訓練ではこのCPGを賦活するのではないかといわれています。また不安定な状態でも転倒を考えることなく、長距離の歩行訓練が可能になります。
4.長下肢装具型ロボット:Bionic Leg
足底の圧力センサーで患者さんが立ったり座ったりするときの圧力の変化をとらえ、膝に取り付けられたモーターが動きをサポートするものです。麻痺で足が動かなくなった患者さんでも早期から立位訓練が可能になります。
5. 磁気刺激装置:Pathleader (パスリーダー)
磁気により神経線維へ連続刺激を行います。プローブ内のパルス電流により磁束を作り、筋肉内で渦電流を発生させます。表層の痛覚神経刺激を低減することで電気刺激と比較して痛みが感じにくく、深部の神経線維に直接アプローチができます。
6.機能的電気刺激装置:NESS L-300
下肢麻痺の患者さんは歩行の際につま先を上げることができずに足を引きずってしまうことがあります。機能的電気刺激装置(NESS L-300)は総腓骨神経を電気で刺激してつま先を上にあげる運動を補助し歩行訓練を行います。靴底に圧センサーを装着して、歩行時の圧の変化をとらえ、歩行のタイミングに合わせて電気刺激を行います。
7.随意運動介助型刺激装置:IVES:Integrated Volitional Electrical Stimulator
麻痺肢の筋肉を動かそうとしたときの微弱な活動を電極で感知し、電気刺激を麻痺した筋肉に与える装置です。主に上肢の訓練で使用しています。
8.咽頭電気刺激装置: Vital Stim
咽頭期障害のある患者の嚥下関連筋・神経への電気刺激を行うことで筋収縮を高め、嚥下時の筋収縮パターンの再獲得に向けた手助けを行う装置で、嚥下機能の改善が見込まれます。
医師 氏名 | 所属学会 | 履歴 |
---|---|---|
金内 ゆみ子 | 日本リハビリテーション医学会(専門医・指導医) 日本整形外科学会(専門医) 日本手外科学会(専門医) |
H2年 山形大学卒 H22年 山形大学大学院修了(医学博士) 山形大学医学部臨床教授(整形外科学分野) |