健康一口アドバイス
生命にかかわる頭痛
脳神経外科 医長 毛利 渉
頭痛は、日本人成人の4割が頭痛持ちと言われる程ありふれた症状の一つです。そのため、重大な疾患を見逃してしまうことがあります。その代表例がくも膜下出血でしょう。
くも膜下出血は、脳動脈瘤という脳の血管にできた数ミリの小さな「こぶ」が破裂して生じます。出血したときに痛みが出るので、「今まで経験したことのないような突然の頭痛」、「突然、後頭部をハンマーで殴られたような痛み」などと表現されることが多いのです。それくらい突然で激しい痛みということです。逆に、微小漏出といって、比較的少ない量の出血で発症することもあります。この場合も「突然」であることは同じですが、重症感がないため、風邪や片頭痛、肩こりからくる頭痛、高血圧によるものなどと間違われる場合があります。また、吐き気や嘔吐、一過性に意識を失うこともあります。
くも膜下出血は脳卒中の中の一つではありますが、手足の麻痺や言語障害を伴わない場合も多く、脳梗塞や脳出血などとは性格が異なります。出血した後は一旦出血は止まるのですが、かさぶたが取れて再出血すると、多くの場合、生命に関わります。しかも、自然に治るというものではありません。再出血予防を行わないと、後遺症無く治ることはありません。
いつもと違う頭痛だと感じたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
2012年10月29日
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