健康一口アドバイス
慢性腎臓病(CKD)について その1
腎臓内科長 出川 紀行
日本の慢性腎臓病患者は約1330万人と推定(2005年)され、成人の8人に1人がかかる国民病となっています。慢性腎臓病が進行し、末期腎不全になり、透析治療を受けている人は約30万人で、国民の400人に1人にあたります。最近の研究で、慢性腎臓病では、心筋梗塞、心不全および脳卒中の発症および死亡率が、一般人と比べて約3倍高くなることがわかっています。
まず、慢性腎臓病の初期には自覚症状がありません。早期発見には、①尿検査による蛋白尿、血尿の確認②血液検査によるGFR(糸球体濾過量)を確認する必要があります。〈腎臓が悪いかどうかは、一般に血清クレアチニン値で判断されますが、体格(筋肉量)によって影響を受けるため、年齢と血清クレアチニン値で算定されるGFRを指標にします。現在、GFRはほとんどの検査データに記載されております。〉この腎臓の働きを示すGFRが60ml/分/1.73㎡未満か、蛋白尿、血尿が出るといった腎臓の異常が3ヶ月以上続く状態を慢性腎臓病といいます。腎臓病は、GFRの値によって5段階に区分され、さらに尿蛋白量により3段階に区分されます。つまり、15に区分されます。これは、尿蛋白が多いとGFRが同じでも、末期腎不全、心血管死亡が多くなることがわかったからです。
2013年3月25日
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