健康一口アドバイス
お腹のヘルニアについて
内視鏡外科長 大西啓祐
外科で担当するヘルニアとは、お腹の内臓が腹膜という内臓を取り囲んでいる膜ごと筋肉の隙間から脱出する病態のことを言います。飛び出してくる内臓は腸のことが多いので、俗に脱腸とも呼ばれています。ヘルニアには生まれつきのもの(先天性)と、年齢を経てから徐々に隙間が大きくなって発症する(後天性)ものがあります。
鼡径部(そけいぶ)と呼ばれる左右の下腹部(足の付け根の近く)やお臍(へそ)などによく起こります。また、お腹の手術後の傷跡に生じた隙間から発生する腹壁瘢痕ヘルニアなども珍しくありません。脱出している臓器が皮膚を押し上げてポッコリ膨んで見えますが、症状は違和感程度で痛みはあまり強くないことが多く、放置されていることもしばしばです。しかし、脱出したまま戻らなくなってしまう(陥(かん)頓(とん)といいます)と、腸閉塞を起こしたり脱出した臓器が壊死を起こすこともあるので注意が必要です。
治療は基本的には脱出した腹膜と臓器を元にもどす手術が必要となります。後天性のものは、さらに人工のメッシュと呼ばれる細い線維でできたシートを張り付けて隙間を塞ぐことが多いです。近年は腹腔鏡と呼ばれるカメラを使って小さな傷で手術することも可能となっています。ヘルニアかな?と思ったらお近くの外科医に相談されるのがよいでしょう。
2013年7月31日
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