健康一口アドバイス
最近の経口糖尿病薬の進歩
糖尿病・内分泌内科長(兼)地域糖尿病センター室長 五十嵐 雅彦
糖尿病では、慢性的な高血糖によりさまざまな合併症を引き起こすことが知られています。そこで、治療は(特に食後の)血糖をいかに上がらないようにして合併症の進展や悪化を予防できるかが重要になります。
糖尿病の治療は、まずその人にふさわしい食事量を決め、運動していただくことから始まります。そして、それでも血糖やHbA1cの低下が十分でない場合には経口薬が使われます。従来の経口薬では、量を増やすと「低血糖」や体重増加などの問題がありました。しかし、数年前に食物が小腸を通過した分だけインスリンが分泌される「DPP-4阻害薬」が出てからは、「低血糖」がなく安定した血糖コントロールが得られるようになりました。また、今春からは、新たに「SGLT2阻害薬」という、これまでとは全く違う作用で尿に糖を排出させて血糖を下げる薬も登場します。ただし、この薬は、肥満(いわゆるメタボ体型)があり、食事療法がきちんと守られ、合併症が重症ではない場合では有効性が期待されますが、合併症が進行し脳梗塞などがある場合にはかえって悪化させる危険性もあります。関心がある場合には主治医の先生に相談してみてください。
2014年5月1日
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