健康一口アドバイス
脳卒中とタバコ
脳神経外科長 近藤 礼
今回は脳卒中と喫煙の関係についてお話ししたいと思います。
脳卒中は手足の運動麻痺や言語障害が生じるために、それまでの日常生活が一変してしまう病気で、山形県では毎年3000人以上の方が新たに発症しています。
一方、受動喫煙のリスクが広く知られるようになり、喫煙者には厳しい目が向けられる時代となりましたが、まだまだ愛煙家は多く、成人の2~3割程度が喫煙者とされています。
喫煙は脳卒中の危険因子として広く認められています。脳卒中の中でも特にくも膜下出血、脳梗塞を増やすものとされています(それぞれ約3倍、約1.5倍)。また、たくさん喫煙するほど脳卒中の発症が増えます。どうも脳卒中にとって喫煙は良いことがないようです。また、受動喫煙でも脳卒中が増えるとする報告もあります。
一方、禁煙するとどうでしょうか。禁煙を始めると少しずつ脳卒中のリスクは下がり、5〜10年の禁煙で非喫煙者と同等のリスクになるとされています。脳卒中リスクを下げるための禁煙はいつから始めても有効なのです。禁煙は薬を飲む手間がいらず、時間がかからず、タバコを買うお金を節約できる、最もコストパフォーマンスの高い脳卒中予防法といえます。
2015年3月13日
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