健康一口アドバイス
飲酒と脳卒中
脳神経外科 山木 哲
吉田兼好の格言に「百薬の長とは言えど、よろずの病は酒より起これ」があります。近年の多くの研究結果でもそれが裏付けられています。酒の飲み過ぎは肝臓の負担になるばかりか、肥満や高血圧の原因になり、脳卒中(脳出血、脳梗塞、くも膜下出血)の危険を高めます。脳卒中は日本人の死因の第4位であり、寝たきりの原因としては第1位です。
アルコールは脳出血を起こす危険を高め、また量に相関することがわかっています。毎日ビール中瓶3本(1500 ml)以上飲む方の脳出血発症リスクは、時々飲む方(月1~3回)の2.5倍以上となります。脳梗塞の場合、全く飲まない方より、少量飲む方(1日あたりビール中瓶1本)の方が39%危険が低くなるというデータもあるのですが、さらに多く飲む方は逆に危険を高め、男性で1.7倍、女性では4倍になります。つまり大量飲酒は避けるべきであり、飲酒習慣のある方は、1日平均で日本酒なら1合、ビール中瓶1本、焼酎0.6合、ワイングラス2杯、ウィスキーダブル1杯までに抑えるのがベストです。加えて週に2日以上は休肝日を設けましょう。
一覧に戻る