- 文字サイズ
-
- 標準
- 拡大
- 背景色
-
- 白
- 黒
- 青
泌尿器科長 鈴木 仁
前立腺は、男性にのみみられる生殖器の一つで、膀胱の出口に、尿道を取り囲むようにして存在します。前立腺の働きは、精液の一部を分泌し、この液は、精子に栄養分を供給して、その運動を促進する働きがあるといわれています。前立腺は、尿道に近い部分の内腺と、その周囲の外腺とで構成されており、前立腺肥大症は内腺に、前立腺癌は主に外腺にできます。好発年齢は60〜80歳ですが、本邦を含む東アジアは前立腺癌の低リスクグループに入り、欧米に比較すると罹患率・罹病率ともに低いとされてきました。しかし、近年本邦においては生活様式の欧米化、高齢化社会の到来により近年急速に増加しています。全国の統計によると新たに前立腺癌が発見された人の約70%は排尿に関係した症状を有し、また、12人に1人は、転移した部位からの症状で発見されています。前立腺癌は主に骨に転移しますので、排尿に関する症状があり、腰痛等が続くような場合は、一度検査を受けられた方がよいでしょう。検査は、前立腺特異抗原(PSA)という血液検査をすると癌かどうかの確率がわかります。癌が前立腺内にとどまっているうちに発見できれば、手術や放射線治療によって完治できる可能が高いです。