健康一口アドバイス
鏡視下手術について
外科医長 大西 啓祐
最近,有名野球監督の受けた手術が“腹腔鏡”という器械を使って話題となりましたが、“腹腔鏡”とは胃や腸の内側を観察する内視鏡とは違って、お腹の中にカメラを挿入して腹腔内の臓器を観察するものです。実際にはお腹に小さな切開をおき、10mmほどのカメラを挿入し、臓器をテレビモニターに映し出します。それを見ながら、手の代わりとなる特殊な5~10mmの細長い手術器械を使って手術を行います。したがって、カメラと手術器械を挿入する小さな傷だけで手術が可能です。お腹だけでなく胸の手術も同様な方法で可能ですが,こちらは胸腔鏡手術と呼びます。
この手術は1990年ころから胆嚢摘出などの比較的単純な手術から始まりました。傷が小さくてすむので【体の負担が小さい】【傷が目立ちにくい】【痛みが少ない】【癒着などの合併症も起こりにくい】【社会復帰が早くできる】といったメリットがあります。例えば、虫垂炎(いわゆる盲腸)では手術をして2日、胆石などでも3-4日くらいで退院ができるようになっています。
最近では器械や技術も進歩してより複雑な手術もできるようになり,胃がんや大腸がん,肺がんなどの悪性腫瘍に対する手術も可能になってきました。がんの場合は、病気の進行度によって病態が異なるのですべてに適応はできませんが、発見が早ければ十分可能です。実際、胃がんの手術でもお腹は5cm程度しか切りません。順調に回復すれば術後10日くらいで退院できるようになりました。お腹の手術を勧められた場合は腹腔鏡や胸腔鏡手術ができるかどうか主治医の先生に聞いてみるのもいいかもしれません。
2006年9月07日
関連ページ:
http://www.saiseikan.jp/outline/section/surgery.php
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