泌尿器科長　　鈴木　仁

　突然、赤い尿（肉眼的血尿）がでたら驚きますが、特に他の症状がない血尿（無症候性血尿）は要注意です。それは、他の症状がない肉眼的血尿の３人に１人に尿路にできた癌が見つかるからです。尿路の癌のうち最も多いものは膀胱癌です。膀胱癌は５０歳以上に多く発生し、男性は女性の3倍以上の発生頻度です。また、たばこやコーヒーと関係があります。膀胱癌は膀胱内にポリープのように飛び出し、その表面から出血し血尿を呈します。そして膀胱壁内に根を広げていきます。根が浅いうちは、尿道から特殊な器械を入れて根こそぎ切除できますが、根が深い場合や膀胱全体にいくつもある場合には膀胱ごと摘出することになります。根が浅いうちに発見できれば、膀胱を摘出しないですみますので赤い尿がでたらすぐに受診するようにしましょう。痛みを伴う血尿は、尿路結石や膀胱炎が原因です。特に尿管結石はひどい背部痛を起こします。どうして結石ができるのかはまだ解明されていません。結石は尿の成分が固まったものなので予防としては水分を多めにとり、尿中成分を薄めることが大切です。しかしアルコールは尿を酸性にしますのでかえって結石ができやすくなります。ビールは結石の予防にはなりませんのでご注意下さい。
2007年2月05日

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