健康一口アドバイス
乳癌② ~治療について~
第二診療部長(兼)外科長 守本 和弘
乳癌の治療には手術のほかに、飲み薬や注射薬などを用いる“薬物療法”、体の一部に放射線を照射する“放射線療法”があります。手術術式の違いによる治療成績に差がないことがわかり、乳房切除術よりも、乳房の一部だけを切除する乳房温存手術が多くなっています。
手術では腋(わき)の下のリンパ節を多数摘出する郭清(かくせい)も同時に行いますが、センチネルリンパ節(腋(わき)の下の見張りのリンパ節)に転移がなければ郭(かく)清(せい)を省略することもあります。温存手術の後には乳房内の再発を少なくするために、残した乳房に対して放射線治療を行います。手術で癌が完全に切除されても、一部の乳癌ではすでに他の臓器に微小転移(後の再発転移)をしている可能性があると考えられています。この為全身に対する治療が必要とされ、癌細胞が増えるのを抑える目的で薬物療法が行われます。抗がん剤を用いた補助化学療法やホルモン剤を用いた内分泌療法、さらに分子標的治療がありますが、新薬の開発や効果的な投与法が研究されており、進歩が著しい分野です。手術後だけではなく、手術の前に薬物療法が行われることもあります。また進行した乳癌や、転移した乳癌でも薬や放射線の効果が期待できるので積極的に治療が行われます。
このように乳癌の治療方法は様々ですが、複数の治療法が選択されることが多く、乳癌治療のガイドラインを参考にして患者さんと共に決定しています。
2009年1月13日
関連ページ:
http://www.saiseikan.jp/outline/section/surgery.php
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