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小児科長 清水 行敏
子どもの嘔吐、下痢の原因の大半はウイルスです。ロタウイルスやノロウイルスが有名で主に冬季に流行します。すっぱい匂いの白色水様便になります。発熱や嘔吐を伴うこともあります。子どもは体の水分量が成人に比べて多いので、下痢で水分が失われたり、水分摂取が不足すると容易に脱水状態になります。昔と比べて重症の脱水は少なくなりましたが、発展途上国ではいまだに脱水で命が失われています。嘔吐・下痢の時に一番大事なことは下痢を止めることではなく、脱水を防ぐことです。お腹に負担のかからない『吸収の良い水分』を用意します。これは適量の塩分と糖分を含んだ液体で、経口補水塩(ORS)と呼ばれ、薬局などで市販されています。野菜スープや薄めの味噌汁・重湯などでも十分代用できます。吐き気が収まってしばらくしたら、少しずつ与えていきましょう。その後、消化の良い食事(おかゆ、おじや、うどん等)に移行していきます。乳児では母乳やミルクをそのまま与えてかまいません。以上のような方法で水分が取れれば大丈夫です。嘔吐物が黄色から緑色の液体の場合や、腹痛が強そうな場合、元気がなく顔色が悪い場合には病院での治療が必要になります。