健康一口アドバイス
喫煙と肺の障害について
呼吸器内科 医長 和田 敏弘
現在、日本は依然として喫煙率が高く、喫煙開始年齢も若年化しており、禁煙後進国であると言えます。喫煙は慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 、肺癌など呼吸器疾患をはじめ、多くの癌、心筋梗塞、脳梗塞、くも膜下出血、消化性潰瘍など様々な病気の発症原因となっています。
特にCOPDの発症は、喫煙が主要でかつ最大の原因となっています。COPDは、喫煙など有害物質の長期吸入により、気道や肺に慢性的な炎症を起こし、肺胞構造を破壊することで呼吸機能が低下する進行性の疾患です。 症状は慢性的な咳、痰、労作時の息切れであり、進行すると強い呼吸困難を生じます。現在COPDに対する根本的治療はないため、残されている呼吸機能を維持することが大切になります。薬物治療も行いますが、その前提として禁煙は絶対であります。
次に肺癌ですが、喫煙者が肺癌になる危険率は非喫煙者の10~20倍高くなります。また、喫煙者が禁煙すると、喫煙継続者と比べ肺癌リスクは低下し、禁煙開始年齢が低いほどその効果は大きくなります。
喫煙は周囲の非喫煙者にも受動喫煙を促し、前述の喫煙関連疾患が発症することがあります。自身の健康と周りの人への影響も考え禁煙しましょう。そして禁煙にお悩みの場合は、禁煙外来のある医療機関で御相談下さい。
2009年8月31日
関連ページ:
http://www.saiseikan.jp/outline/section/respiratory.php
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