泌尿器科長　鈴木　仁

　前立腺は膀胱の出口にあり排尿や精液に関係する臓器ですが、年齢とともに病気が多くなります。その中でも前立腺がんは、最近増加傾向にあり日本人男性のがんの中で６番目に多くなっています。アメリカでは最も多いがんで、その対策として前立腺がん検診が広く普及しています。前立腺がんは年齢とともに増加し、８０歳代では約５０％の人にがんを認めます。しかしその多くはがん細胞の増殖が非常にゆっくりであるため、治療を必要としないがんでしたが、最近では環境、生活スタイル、食事などの変化によりがん細胞の増殖が速くなり治療が必要ながんが増加しています。

　前立腺の状態をみる方法にPSA検査があります。PSAは前立腺から分泌される物質で、前立腺に病気がおこると血液中の濃度が高くなります。昨年、当科で見つかった前立腺がんの２割の方は、このPSA値を定期的に測定していました。これらの方は完治が期待できます。PSAは泌尿器科だけではなくかかりつけの医院でも簡単に検査できます。自分のPSA値を知っておくことは病気の発見や治療に役立ちますので50歳以上の方は検査してみてはいかがでしょうか。特に父親や兄弟が前立腺がんの方は40歳代からお勧めします。

2011年6月1日