健康一口アドバイス
医療連携と地域連携パス
第二診療部長(兼)外科長 守本 和弘
治るまでに長期間を要し、様々な部署の医療スタッフが携わる病気があります。大腿骨の骨折と脳卒中はその代表ですが、これらとリハビリは密接な関係にあります。
寝たきりの状態が続き手足を動かさないと、筋力低下と関節が固まる廃用症候群が生じます。病気以外に正常な機能を失うことが加わり回復がより困難になります。
発病当初から行う急性期のリハビリはこの廃用症候群を防ぐ目的で行います。一方、回復期のリハビリは機能回復や生活能力の獲得を目的に患者さん自身が行っていくリハビリです。
時期や、目的に応じ様々な治療が必要なため、全ての医療を1か所で行うのは無理があります。そこで病院、診療所がその役割(急性期、回復期、維持期)を分担することにより、高度で密度の濃い医療を患者さんに提供することが可能になります。また、それぞれの施設が緊密な関係を保ち、地域全体で円滑に医療が行われなければなりません。現在様々な分野で「医療連携」が進められています。
医療連携を行うために、患者さんの経過を「地域連携パス」を用いて伝えています。「地域連携パス」に参加している施設は共通の書類を用いて情報を共有し、同じ方針で途切れることなく治療を継続します。また、患者さんには急性期病院に入院する時から「地域連携パス」の計画表が渡され、退院後の予定まで示されます。
現在、山形市を中心に村山地区で「大腿骨頸部骨折」と「脳卒中」の地域連携パスが急性期病院、回復期病院、診療所の間で情報伝達の道具として使われています。情報の流れは一方向ではなく、両方向であることも特徴です。
2012年4月5日
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